「はあ……」

　深く嘆息しながら、ひとりで下校する私。

　久しぶりのひとりでの帰り道は、やたらと寂しい。

　――りっちゃんと喧嘩みたいになっちゃったなあ。

　小学生の頃から思い返しても、りっちゃんと喧嘩をした覚えはなかった。

　大好きなりっちゃんと気まずくなるのはやっぱりとても辛いけど、どうしたらいいのかわからない。

　何も悪いことをしていない健吾くんを、私が邪険にするのもおかしいと思うし……。

　そんな風に悶々としながら曲がり角を曲がると。

「あ、柚葉ちゃん」

　なんと、渦中の人物である健吾くんと鉢合わせした。

「健吾くん……」

　学校へと向かう方になんで歩いてるんだろうと軽く疑問に思いつつも、精神的に疲れてる私にそんなことを尋ねる気は起きない。

　――すると。

「柚葉ちゃん、なんか元気なくない？」

　私の雰囲気からそう察したのか、健吾くんが心配そうな面持ちで尋ねてくる。

「あ……。実はりっちゃんと、ちょっと喧嘩っぽくなっちゃってさ」

　作り笑いを浮かべて、軽い口調で私は答えた。

「そうなの？　じゃ、よかったら一緒に帰ろうよ～」