「りっちゃん。健吾くんに対して、なんであんなに当たり強いの?」

 昔のこともあるし、りっちゃんの前で健吾くんの話題はあまり出したくなかったけれど。

 あれじゃあ健吾くんがちょっとかわいそうだ。

 りっちゃんの言動に健吾くんが傷ついている様子は無かったけれど、内心何かを感じているんじゃないかって思う。

 だって、りっちゃんが嫌な態度を取ってから、健吾くんは私たちの教室に来なくなったわけだし……。

 私のことを好きでいてくれるりっちゃんが、健吾くんに嫉妬しているんだってことは、鈍い私でも分かるけど。

 でも健吾くんはもう頻繁に会いに来なくなったし、今日はたまたま鉢合わせして自然な流れでお昼ご飯を一緒に食べることになった。

 そんな時でさえ、嫌悪感をむき出しにするのはやきもちにしては度が過ぎてない?

 そう思った私だったけど――。

 りっちゃんは深くため息をついてから、やれやれといった表情になり、こう言った。

「だってあいつ、ゆずのこと好きじゃん」

「え!?」

 予想外のりっちゃんの言葉に、私はたじろいでしまう。