健吾くんと距離を置こうと心に決めた私だったけれど――。

 あの後、健吾くんは私たちの教室に来なくなってしまった。

 私には健吾くんは何も気づいていないように見えたけど、もしかしたらりっちゃんが放っていた棘を感じ取ったのかもしれない。

 健吾くんに少し悪いことをしてしまったような気もするけど……。

 まあ、私にとっては大好きなりっちゃんの心情の方が大事だしなあ。

 と、健吾くんが教室に現れなくなって、りっちゃんとの平穏を取り戻した私は安心していた。

 そんなある日の昼休みのこと。

 昼休みは、いつもなら美緒と一緒に教室でお弁当を食べて過ごす時間だ。

 だけど今日は美緒に急遽委員会の仕事が入って、一緒に過ごせなくなってしまった。

 残念だなあと思った私だったけど、ちょうど今日はお母さんが寝坊してお弁当を用意できなかったことを思い出す。

 それなら、たまにはひとりでのんびりと学食のご飯を味わってみるのもいいかも?

 うん、そうしよう。

 そう思い立ち、昼休みになった途端急いで学食へと向かった私。

 前みたいに特盛カツ丼しか残ってなかったら、大変だもんね。