だって、りっちゃんは――。

「あ、あの……。りっちゃん、なの?」

「そうだけど?」

 私が恐る恐る尋ねると、氷室律くん――りっちゃんは事も無げに肯定した。

 え、ええええ!?

 りっちゃん、男の子だったの⁉

 前代未聞の衝撃を受けた私は、思わず叫び声を上げるところだったけれど、なんとか堪えた。

 そうできた自分を褒めてあげたい。

 だってずっと女の子で親友だって思っていた子が、男の子だっただなんて!

 しかも見たことも無い位にイケメンに成長しているなんてっ。

 こんなの、辺りを構わず絶叫しちゃったって、おかしくないでしょ⁉

「これからゆずのことを捜そうと思ってたから、手間が省けてよかった」

 そんな私の動揺なんてもちろん知る由もないりっちゃんは、機嫌良さそうに言う。

 眺めの前髪の隙間から覗く横顔は、鼻筋が通っているししみひとつ無い美肌で、相変わらず美しかった。

 そういえば、りっちゃんとは小学校が違っていて塾でしか会わないという間柄だった。