真っ白になったハンカチは、健吾くんに貸す前よりもきれいに見えるくらいだった。

「教室すごく離れてるのに、わざわざハンカチを渡しに来てくれたの? それにもう洗ってくれたんだ……」

 まさか昨日の今日でハンカチが戻って来るとは思っていなかった。

 私は少し驚きながら言う。

「うん。だってかわいいハンカチだったから、なるべく早く返した方がいいかなって。昨日は本当に助かったよ、ありがとう」

 昨日と同じように、爽やかに微笑む健吾くん。

 どこからどう見ても、人の良さそうなイケメンだった。

 去年私にストーカーまがいの行為をしてきた健吾くんと、同一人物とは思えないくらいに。

「ううん、お礼を言うのはこっちの方だよ。最初に助けてもらったのは私だったしね」

「あ! そういえばそうだった~」

 なんて言って健吾くんが笑うから、私もつられて笑ってしまった。

 少し前まで強張った顔をしていた美緒も、頬を緩ませている。

 そして、私たちの笑い声が収まった時。

 健吾くんは急に真剣な顔をして口を開いた。