「う、うん。そうなのかも」

 と、私は誤魔化してしまった。

 するとそのタイミングで健吾くんの腕がアイスティーの入っていたコップに当たった。

 その拍子にコップが倒れて、健吾くんの制服の袖が濡れてしまう。

「け、健吾くん大丈夫!?」

「うわー、やっちまった……。うん、ちょっと濡れちゃっただけ。柚葉ちゃんにはかからなかった?」

「私は大丈夫! よかったらこれで拭いて」

 ポケットに入れていたハンカチを私は健吾くんに差し出した。

 健吾くんはばつが悪そうに笑ってそれを受け取る。

「ありがとう、柚葉ちゃん」

 濡れた制服を拭き始める健吾くん。

 白いハンカチだったから、アイスティーが染みて茶色くなってしまった。

 まあ別に、もう使い古したハンカチだからいいけど。

 そう思った私だったけれど、拭き終わった後健吾くんが申し訳なさそうに口を開く。

「ごめんねハンカチ汚しちゃって。洗って返すよ」

「えっ、いいよわざわざ」

 と、健吾くんの気遣いにかえって気後れしてしまう私だったけど。

「いやいや、本当に助かったからちゃんと洗わせてよ。ね?」