氷室くんは席に着くなり、私の顔を覗き込みながらそう声をかけてきた。
低くて男の子らしい声だったけれど、耳障りのいい澄んだ美声だった。
小学生の時のりっちゃんの声とはまるで違っていた。
あの頃のりっちゃんの声は、女の子にしては低めでハスキーだったけれど、もっとかわいらしい声だったと思う。
だけど男の子だとしたら、思春期に声変わりをするはずだ。
そう考えると、今私の目の間にいる氷室くんから発せられた声は、あの頃のりっちゃんを彷彿とさせた。
しかも私の顔を見て、「ゆず」って……。
私をそう呼ぶのは、今までにりっちゃんしかいなかった。
「えっ、あ、あの……。私は綾瀬柚葉、だけど……」
一応本名で名乗る。
すると今まで無表情だった氷室くんが小さく微笑んだ。
不意に見せられたかっこいい男の子の柔らかい表情に、私の胸が高鳴ってしまう。
「やっぱりゆずじゃん。まさか同じ高校で同じクラスなんて、奇跡的じゃね?」
あの頃と同じような男の子っぽい口調は、りっちゃんそのものだった。
いや、男の子っぽいっていう表現は変なのかもしれない。
低くて男の子らしい声だったけれど、耳障りのいい澄んだ美声だった。
小学生の時のりっちゃんの声とはまるで違っていた。
あの頃のりっちゃんの声は、女の子にしては低めでハスキーだったけれど、もっとかわいらしい声だったと思う。
だけど男の子だとしたら、思春期に声変わりをするはずだ。
そう考えると、今私の目の間にいる氷室くんから発せられた声は、あの頃のりっちゃんを彷彿とさせた。
しかも私の顔を見て、「ゆず」って……。
私をそう呼ぶのは、今までにりっちゃんしかいなかった。
「えっ、あ、あの……。私は綾瀬柚葉、だけど……」
一応本名で名乗る。
すると今まで無表情だった氷室くんが小さく微笑んだ。
不意に見せられたかっこいい男の子の柔らかい表情に、私の胸が高鳴ってしまう。
「やっぱりゆずじゃん。まさか同じ高校で同じクラスなんて、奇跡的じゃね?」
あの頃と同じような男の子っぽい口調は、りっちゃんそのものだった。
いや、男の子っぽいっていう表現は変なのかもしれない。



