これは……期待しても……いい、のかな。


自惚れだってわかってる。だけど伊織にここまで言われたらもう気持ちを隠しきれなくなってしまう。



「なっ……大切なって……その子はただの幼なじみなんでしょう?」



ぎゅっと胸の辺りを握りしめているとひとりのギャルが口を開いた。


その声を聞いて私はびっくりする。


まさか伊織にここまで言われても反論するなんて思わなくて。よっぽど伊織に執着しているんだなって思ってしまった。



「まだ言うか……?空音が“ただの幼なじみ”じゃなければいいんだな?」


「え?」


「い、伊織……?何を言ってるの?」



ギャルの声に反応した伊織は顔を上げ、私を見つめると何かを覚悟したように私に手を差し伸べた。


……?


握れってこと?


この状況についていけず、私もギャルもポカンと伊織を見つめるだけ。


そして私は恐る恐る手を握る。



「わっ!」