悶えていると空音はカバンを持って席を立つ。俺もつられるようにして席をたった。


その時。


ーガタンっ!


何かが落ちたような音が聞こえた。いや、人が倒れた鈍い音というのが近いかもしれない。


俺ははっとして音のした方を振り向く。


空音も気づいたようでびっくりしたように音がした方に向いていた。



「え?咲坂さん!?」


「咲坂!?大丈夫か?」



空音が咲坂の名前を呼んだ瞬間視界から消えた。と思ったら咲坂の方へ一目散に駆け寄っている。だけど咲坂に近寄った瞬間空音の動きが止まったように見えた。


……気のせいか?


不思議に思った俺はあわてて二人のそばに駆け寄る。



「咲坂!?大丈夫か?」



でも俺はすぐに違和感を覚えた。咲坂は倒れたはずなのに顔色も悪くないし、俺を見ている目もなんだか……。



「伊織、くん。助けて……苦しいの」



考え事をしていると咲坂がうるうるさせた目で俺の袖を掴む。