そして、いよいよクリスマスパーティー当日がやってきた。

情けないけれど、今日までずっと、森川には電話越しだったりメールで、何度も「大丈夫ですから」という言葉をかけてもらった。

あの頃、酷く毛嫌いしていた相手である森川に、こんな風に助けてもらっているなんて、果たして誰が想像できただろう。

今年の12月は、いつも以上に寒さが厳しい。

会場は繁華街にあり、距離も近いようなので、徒歩で行くほうが間違いないという話になった。

家まで迎えに来てくれた森川も、しっかりコートを着ているし、寒さに弱い私は雪だるまのように酷く着膨れしていた。

「パーティー会場、副部長のお店らしいですよ」

森川が言うけれど、

「え、副部長って、まだ若いのにもう自分の店を持ってるの?」

「夫婦でやってるみたいです。旦那が年上みたいで」

「結婚してるのかぁ…。てか、よく知ってるね」

「どんな店か、ネットで調べてて知ったんですよ。先輩って、ホントに全くネットやらないんですか?」

「就活の時には、流石に少しやってたよ。でも、結局は家業を継ぐことに決めたら、もう必要なくなっちゃって、今は全くやってない」