「真由、子供の事だけど…」

私を見つめるそーちゃんの目は、穏やかだった。

「今すぐは色々あって無理だけど、来年以降でいい?」

今まで嫌がっていたのに?

私はきっと、信じられないという顔をしている。

「…社長に言われて、確かにそうだなって。
社長、本当は拓海が死んでしまって一番悲しいはずなのに、絶対に涙を見せなかった。
祥太郎がいたから、何とか自分を保てたんだよね」

そーちゃんは私の髪の毛を撫でた。

「俺に万が一があった時でも。
睦海に弟か妹がいれば、何とか助け合えるかな…」

「…そんな事を言わないで」

私はそーちゃんの腰に腕を回してギュッと力を入れた。

「そーちゃんがいなくなったら、私、生きていけないから」

「…うん、ごめん」

そーちゃんに痛いくらい抱きしめられて、その温かさに今、生きてるんだなって思う。

…胸が苦しくて、泣きそう。