Never Forget You

レースの表彰式では。

ニコニコ笑っていたけれど。

シリーズチャンピオンの表彰式では号泣していたそーちゃん。

インタビューでは。

賢司さんへの感謝の言葉を何度となく、繰り返していた。

そして、ファンのみんな、チームの仲間。

私や睦海。

みんなに感謝してくれた。



表彰台に立つそーちゃん。

この姿も今後は見られなくなる。

しっかりと目に焼きつけて…



ふと、気がつくと。

賢司さんの姿がない。



ちょうどインタビューも終わったので私は睦海とパドックへ戻る。

賢司さんは彩子さんと椅子に座っていた。

「ごめん…
ちょっと疲れた」

そう言って苦笑いをする賢司さんを見ていると切なくなる。

「良かったね。
そーがチャンピオンになって。
真由ちゃんがいたからあいつは強くなったと思うよ。
色んな意味でね」

話すのもやっとな賢司さんは肩で大きく息をしていた。

「もう、喋らないでください」

私が慌てて駆け寄ると賢司さんは手を挙げて、大丈夫、とアピールした。

「走って転んだらどうするの?
そーに叱られるよ」

近付いた私の手をとり、

「元気な赤ちゃんを産むんだよ。
そーとはいつまでも仲良くいて欲しい」

私は泣いて頷いた。



外はそーちゃんのシリーズチャンピオンで騒がしく、沸き返っているけど、私の周りは静まり返っている。

賢司さんの、わずかな息使いが聞こえてくるだけ。



そして、これが私にかけてくれた、賢司さんの最期の言葉だった。



この二日後。

賢司さんは拓海くんの元へ旅立った。