「っ」


制服のボタンを外す前に柊君の手が伸びる。
ボタンを1つ、2つ外される。


この行為が恥ずかしいから自分で脱ごうとするのに、柊君はそれさえも待ってくれない。


「痛いかもしれないが少しの間我慢してくれ」

「…んっ」


赤い瞳が私を捕らえる。


決して逃げることはできない。


放課後の保健室。私は毎日のように血を吸われていた。柊君が吸血鬼と知っているのは私だけ。

これは私と柊君2人だけの秘密。


「ごちそうさまでした」

「満足した?」


「満腹かと言われると腹7分目ってとこだな」

「お腹いっぱいになるまで吸わないの?」


「そんなことしたら霧姫が貧血で倒れるだろ」

「心配してくれるんだね」


吸血鬼が怖いって最初に言い出したのは誰だろう? 柊君はただのクラスメイトの私にもこんなに優しいのに。


「こっちこそ俺の都合で悪いな」

「いいの!ぜんぜん大丈夫!」


柊君とこんな関係になった理由は単純明快。


私が体育でケガをして保健室に行った時に柊君がほぼ瀕死状態で保健室の真ん中で倒れていたから。心配で駆け寄るといきなり吸血されちゃって。流れで今の関係がずるずると続いてる。


「霧姫のそんな格好見てたらまた吸いたくなってきた」

「え?」


!?


ブラが見えるか見えないかくらいの露出。


「これ以上見るの禁止っ」

「なんで?」


「まな板みたいな胸、見られるの恥ずかしいんだもん」


高校生になっても私の胸は一向に成長しない。


体重は増えてるのになんで胸は大きくならないの? 食べた栄養がぜんぶ胸にいけばいいのに…。