恋愛はもうしないと決めたのに、次期社長にアプローチされて困ってます!

五月の言葉など聞こえていないかのように総悟は振る舞う。五月はただ戸惑いながらもかばんを総悟に取られているため、彼について行くしかなかった。



総悟に連れて来られたのは、会社から二十分ほど離れたイタリアンのお店だった。地中海をイメージしているのか、白と青で統一されており、可愛らしい。そしてドレスコードも必要ないため、スーツ姿の人も何人かいる。

そんなお店で、五月は緊張を覚えながらメニュー表のページを捲っていた。外食をする時は、いつもラーメンやファミレスばかりでこのような場所に来たことはない。そのため、総悟に話しかけられても耳から通り抜けていってしまう。

(ど、どうしよう……。マナーとか自信がない……)

緊張のせいか、目の前に書かれている料理の名前が何かの呪文のように見えてしまう。アニメのワンシーンならば、五月の目は渦を巻いていただろう。

(どうしよう……。こんなところでマナーを間違えたら恥ずかしいどころじゃ済まない……!)