恋愛はもうしないと決めたのに、次期社長にアプローチされて困ってます!

「まずは乾杯しようか?」

「はい」

グラスにワインを注ぎ、軽く合わせる。久しぶりに飲んだワインに「おいしいです」と五月は呟き、料理を食べるためにフォークを持った。

「おいしい……!」

サラダもパスタもおいしく、五月の顔に笑みが浮かぶ。それを見て総悟はホッとしたような顔を見せた。

「よかった。やっと笑ってくれて……」

そう話す総悟の頰は赤く染まっており、お酒に弱いのかと五月は思った。五月の前で総悟は残っていたワインを飲み干し、口を開く。

「単刀直入に聞くね。宇佐美さんは今、お付き合いしている人はいる?」

付き合っている人、その言葉を聞くと五月の頭の中には数ヶ月前まで付き合っていた元カレの顔が浮かぶ。そして、元カレの顔が浮かぶと自然と彼との思い出が閉ざされた箱の中から飛び出して行く。

『俺のこと好きでしょ?いいよ、付き合ってあげても』

『ええ〜、今日魚なの?肉食べたい!肉!』

『大丈夫、俺がそばにいる。愛してるよ』