「はは。丸山さんも貧血?僕も」
保健室はそういう人が癒されるためにある場所だから、出会いを求めるなんて間違っている。

「中学最後の大会の地区予選決勝なんです。先生、出させてください」
シュンの声だ。サッカー部の生徒が、朝練中にケガをしたとは聞いていたけど。
「我慢しろ。お前のサッカー人生はここで終わりじゃないだろ」
「シュン。オレ達、いつもお前に助けられてばかりだけど、次の試合はオレ達だけで勝って、必ず県大会に連れて行くから安心して休めって」

あのシュンがサッカー部のエース?
シュン、頑張ったんだね。
いや、シュンがずっと頑張っていたのを私は見ていたはずだ。
それなのに私は・・・。
出会いばかり求めて、自分も何も努力してないくせに、人の値踏みばかりしていた。
こんな私が出会いを求めるなんて間違っている。

「シュン、お前さ、気分転換に久しぶりにサッカー観戦でも行って来いよ。丸山もサッカーやめてヒマみたいだし一緒にさ。お前ら、仲良かったじゃねーか」

ナイスアシスト。このシュート、決まるかどうかは私次第。

どこに出会いを求めても間違いじゃない。