とある会社の色んな恋


「はぁ…木下…お待たせ…」
振り返ると息を切らした宮森が
私の横に滑り込んできた。

別車両で乗って、
こちらに移動してきたみたいだ。

「ぎりぎりじゃん」
「あー、これ買ってたから。
ん」

ガサッ…

宮森が私の膝の上に紙袋を置いた。

「え…?」
「シュークリーム。
食うだろ?」

彼は折りたたまれた紙袋の口を開いて
中を覗き込む。

宮森のつやつやした髪がこんなに目の前に…

ドキドキする…

どうしよう…
触ってみたい…

って何変なこと考えてるんだろう私。

「クリームが2種類あってー、
イチゴとチョコ、どっちがい?」
「ほんとにもらっていいの?」
「ったりめぇだろ。で、どっち?」
「ありがとう」



………