「はい!これ」

笹川さんは水色の紙袋を差し出した。

「え?もしかして…チョコ?」
「うん」
「わー!まじで!?
…ありがとな」

清水さんは嬉しそうに紙袋の中を覗いた。

「ってか、俺が残業終わるの待っててくれた?」
「まぁ…うん…」

そして、二人がキスしたのを見て、
熱々だった私の顔は、冷水をかけられたかのように
一瞬で冷めた。




「ブス」

トイレの鏡に映った自分の姿を見た時に、
無意識にその言葉が口から出た。

そうだよ。

私みたいなブスで暗い年下女、
清水さんの眼中にあるわけないよ。

トイレから出ると、ゴミ箱が目に入った。
私はそのまま、手に提げていた高級チョコを
紙袋ごとゴミ箱に捨てて、会社をあとにした。