とある会社の色んな恋



お腹もいっぱいになり、
合コンもそろそろお開きになりそうな頃、
私は空いたお皿をテーブルの端に寄せながら、
会田っちと碧斗の会話に耳を傾けていた。

「で、そのカフェがめっちゃおしゃれなの!
イギリスのおうちみたいでさー!」
「ふうん」
「今度一緒に行こうよー!」

会田っちは碧斗のことを
気に入ったのかロックオン態勢だ。


なんて答えるの?碧斗…
もちろん、断るよね。
だって彼女が目の前にいるんだよ。
わかってるよね?

「うん、いいよ」

………。
え…行くんだ……

碧斗、やっぱり怒ってるのかな。
もう私とは別れるつもりで、
独身の生き方の本を読んだり、
他の女子と遊んでもいいやみたいな。
なんなら、わざと私に見せつけてる?
もう、別れようっていうメッセージってこと?

碧斗にそんな裏はないと思うけど
それは私が知らないだけかもしれない。

「あ、でも─……」