とある会社の色んな恋



部屋に戻ると、
サラダはちゃんと私の分も取り分けられていた。

「花ちゃん!お父さんなんだって?」

会田っちが早く座ってー
っと私の席の椅子の背を、
軽く叩きながら言った。

「あー、なんか、
電子レンジでご飯解凍するのは
どのボタンかきいてきた」
「ふはは!かわいいお父さんじゃーん」


席は碧斗の真正面だった。

気まずい。

でも、この顔は世界で一番好きだ。
どんなに腹が立っていても、
この整った顔にはドキドキしてしまう。

「真美ちゃんって呼んでもいい?」

碧斗の横から山本君が私に声をかけてきた。

「あ、はい!」
「真美ちゃんも舞子ちゃんと同じ部署なの?」

碧斗と並んだらそうでもないけど、
山本くんも世間一般にはイケメンの部類に入るのだと思う。
雰囲気だけならめちゃくちゃモテそうな感じがするのに、
なんで彼女いないんだろう。

陽キャで、コミュ力高くて、
高校の時は文化祭とか体育祭を仕切るタイプで、
友達多くて、大学時代は海外で
バックパッカーとかしてそう。
勝手なイメージだけど。