仕事終わりの金曜日の晩。

心の中は罪悪感満タンで、
会社の同僚と駅前にある
全室個室の居酒屋へ向かった。

「ちょっと!走って!
遅れてる!」
「いいじゃん花ちゃーん。
ちょっとくらい遅れてもー。
ってか、合コンなんてちょっと遅刻するくらいが
いいんだってばー」
「何それ!
向こうはもう着いて待ってるんだってば!
私、人を待たせるの嫌なの!」

会議で疲れてるのにー、
とぶーぶー言う同僚の会田っちの
手を引いて、私は小走りした。




「初めまして。
俺、山本 真(やまもと しん)
で、こいつは草津 碧斗(くさつ あおと)
宜しく!」

居酒屋の個室に入った時、
真っ先に視線が吸い寄せられたのは、
幹事の山本君ではなく
その隣で本を読んでいる
『私の彼氏』草津 碧斗だった。