婚活パーティーなんて
来なきゃよかった。

知らない人の前でこんな醜態
さらすくらいなら…


「全然おちない」

でも、コートを着れば
服の汚れは見えないし。

さ、帰ろ帰ろ…

30歳独身。
内海(うつみ) 加奈子。
彼氏いたことないけど、
これからもできそうにありません。
完……



鏡に映る自分に
「結婚は諦めなさい」と頷いて、
トイレを出ると
目の前にパッとキラキラが広がった。


「内海さん、さっきの大丈夫ですか?」

「…ん!?」


すらっとして
モデルみたいにスタイルがいいその男性は、
密かに私が思いを寄せている
同じ職場の人だった。


秋野(あきの)さん!?
なんでこんなところに?」
「僕も参加してたので…
パーティー」
「で…でも…
秋野さんって
結婚されてましたよね?」


そうだと思ってたから私は、
この思いを心の奥底に完全封印してたんだよ?

「実は……
2年前に離婚しまして」



どうやら社内の
信頼できる数人にしか
言ってないらしかった。

「自分のプライベートを
知られるの嫌なんですよ。
特に会社で広まると、
詮索好きな人から
質問攻めにあったりするでしょう?
だからこのこと、
秘密にしてもらえませんか」