そんな私だけれど、幸薄そうな顔を好む男はどこにでもいるもので、就職するまでは彼氏が途切れることはなかった。

でもその間付き合った男といえば「ギャンブル大好き男」「キャバクラ通い男」と金遣いが荒い男ばかり。

私の外見で、「男に尽くす女」と見込んだのだろうか。

たしかに私がお金を持っていたら、きっと彼らに貢いでいた。

けれど私には彼らを助ける財力なんてなかった。

そして私からお金を引き出せそうにないと分かるやいなや、男達は私の前から去っていった。

「モラハラ男」と付き合ったこともあった。

最初は優しくて紳士的だったけれど、お付き合いが始まると約束をドタキャンされることが当たり前になり、逆にこちらの都合を考えないで予定を立てられ、断ると暴言をまくしたてられた。その彼にはお願いだから別れて欲しい、とこちらから土下座して関係を切った。

あのまま付き合い続けていたら、メンタルがボロボロになっていただろう。

最後につき合った彼は真面目で優しくて、とてもいい人だったけれど、彼のファーストプライオリティは、とある仏様だった。そして彼の入っている宗教にしつこく勧誘され、断ったら「価値観が違う」と言われてフラれた。



最後の恋からもう3年が経つ。

就職してからは誰ともお付き合いしていない。

もう恋愛なんて・・・男なんて・・・懲り懲りだ。

きっと私は恋愛運がゼロなんだ。

暗くて面白味もない私は、すぐに飽きられて捨てられるつまらない女なんだ。

本当に「幸薄い女」なんだ。

何も男の人に高望みなんてしていないつもりだ。

イケメンじゃなくても、お金持ちじゃなくても、高学歴じゃなくても・・・ただ誠実に私だけを好きでいてくれるだけでいいのに・・・。

自らの情けない男性遍歴を思い返し、無性に悲しくなる。

ちょっといいな、と思っていた和木坂課長とも、やっぱり運命の糸は繋がっていなかった。

和木坂課長の、右目だけ細める優しい笑顔を思い浮かべ、目尻に涙がにじむ。

こんな淋しい一人の夜は、無性に実家が恋しくなる。

でも東京で頑張るって決めたんだし、家族に心配かけたくない。

私・・・結婚出来るのかな?

結婚出来たとしても、幸せになれるのかな?

漠然と将来は結婚して子供を二人くらいなんて思ってきたけれど、こんなに男運が悪いんじゃ酷い男を引き当てて、浮気されたりDVされたり・・・その結果離婚してシングルマザーになって・・・そんな未来しか予想出来ない。

だったら一生お一人様でいいんじゃないの?

今どき結婚しない人間なんてゴロゴロいるし、一生独身でいることだってもうそんなに肩身が狭いことじゃない。

私にはマリモがいるし、公務員というお堅い仕事にも就いているし、一人きりの将来設計だって何の問題はない。

貯金してお金が溜まったら、お洒落なマンションをローンで購入しちゃうのもいいかもね。

うん。そうだ。そうしよう。

私は気ままな独身生活をずっと謳歌しよう。

そんなことをつらつらと考えながら、テレビ画面のキリンの赤ちゃんを眺め、また一口発泡酒を飲んだ。