ポケットに未練がましい恋歌を



これで本当に、俺たちの関係は終わったんだ。

俺の心臓に、激痛が走る。

ナイフでめった刺しにされたような激しい痛みが、何度も襲ってくる。


「元気でね、ひより」

何とか絞り出した未練がましい俺の声は、ハチミツみたいに甘い。


「人気ミュージシャンになってね、大弥君」

ひよりの声は、雨の後の快晴みたい。
優しくて、爽やかだ。


ブツリ。
通話が切れた音が、俺の耳に刺さる。

俺とひよりの関係が終わったことを示す、残酷な音だった。