ポケットに未練がましい恋歌を


抱え込んでいた悲しみをぶちまけるように、ひよりは涙声を荒らげた。


俺はひよりを愛している。

別々の人生を歩むことなんて、考えたくもない。

ひよりの人生、俺だけが独占したい。

でも……



俺はしばらくの間、瞳を閉じて考えた。


絶対に口にしたくない言葉が、脳に浮かんで悲しくなる。


そんな言葉、絶対に言いたくないけれど……

――ひよりのため

――ひよりの幸せのため

そう自分に言い聞かせ、諦めのため息とともに呟いた。



「わかったよ。
 別れよう、俺たち」



「……うん」