ポケットに未練がましい恋歌を



「わたしはもう
 大弥くんとはやり直せないよ。
 あんな辛い思い、二度としたくない。

 大弥君の部屋で、たくさん泣いてたんだよ。
 早く帰ってきてって、たくさん願ってたんだよ。

 大弥君はアパートを出ていく前から
 私への態度がそっけなかったよね?」


「それは……
 フェスの話が舞い込んできて
 新曲作らなきゃって、自分のことでいっぱいいっぱいで……」


「もっと私に構ってって、ずっと思ってた。
 でも言えなかった。
 大弥君に嫌われるのが怖かったから」


「ひより……」


「大弥君と付き合ったら
 また私はいっぱい我慢しちゃう。

 大弥君が夢を叶えるためだって、自分に言い聞かせて
 寂しい気持ちを押し殺して、痛々しく微笑んじゃう。
 
 自分の心の痛みを見て見ぬふりをするのは、もう限界なの。

 私はまた、思いっきり笑える自分に戻りたい。
 悲しい過去の恋に涙を流さず、自分の人生を楽しみたい。

 だから大弥君、私と別れてください!」