ポケットに未練がましい恋歌を



誤解がとけたことに一安心。

安堵のため息をこぼした、俺だったのに……


「バンドの人にも会社の人にも、居場所を教えて……
 なんで私には、教えてくれなかったの?」

「それは……」

仕事とバンド練習以外は、曲作りに集中しすぎて、ひよりのことをおろそかにしていました。

そんな酷いことは言えず、声が喉に詰まってしまう。


「私、寂しかったんだよ。
 電話もつながらない。
 メッセージを送っても、既読にすらならない。

 大弥くんに会いたいのに
 声を聞きたくてたまらないのに
 連絡が取れなくて……

 いきなり大きなカバンに
 洋服を詰めて出ていって

 着信拒否までされたら

 私は嫌われたんだ!って
 思っちゃうに決まってるでしょ!!」





俺は、絶句した。

何も言い返せなかった。


だって……

いつもニコニコで、俺を褒めまくってくれるひよりが、泣きじゃくりながら、大声で俺を非難したから。


そんなこと、初めてだ。