ポケットに未練がましい恋歌を




俺はベッドに腰掛け、スマホに指を置く。


『日本最大級の野外フェス、俺たちのバンドが出れることになったよ』


どうせ返事はこないだろう。

一ミリも期待もせず、ひよりのスマホに送ってみた。


それなのに

『ほんと? おめでとう!』

予想外。
すぐにひよりから、メッセージが返ってきた。

たったそれだけのことなのに、涙が出そうなほど嬉しくてたまらない。


俺は焦りながら、スマホにひよりへの想いを書きつづる。


『ひよりを一人にさせてごめん。
 寂しい思いをさせてごめん。

 俺が好きなのは、ひよりだよ。
 だから、わかって欲しいんだ。

 出会ったあの満月の夜
 ひよりに伝えた俺の想いは
 今も変わらないってことを』