むふむふ

 束の間二人になった居間で、潔は今更ながら妙に気まずくなってくる。ちらりと横目で無風を見れば、無風はにこにこ自分を見つめていて、潔はとにかく頭を抱えそうになる。

「文藏が呪いと言っていたが」と、潔は一旦結婚から話題を逸らすことを試みる。「なんでこんなことになったんだ?」

 途端に無風は、眉間に皺を寄せ、苦しげな表情になる。潔は慌てて、言いたくないなら無理しないでくれ、と付け加えた。無風の頬が少し赤い。

「言いたくないというか……その、大変恥ずかしい話なんですが」

 駄菓子屋で水に溶かして飲む、粉末状のジュースを見たことがあるだろうか。
 あるとき祖父の元を訪れていた無風は引き出しからメロンソーダ味のそれを見つけて、懐かしさのあまりつい飲んでしまった。空袋をしげしけど眺めていて、気づいた。

「賞味期限が年単位で切れてました」
「賞味期限がどんなに前でもそうはならないだろ」

 賞味期限切れを気にしない派の人はみんな毛玉になるというのか。いや、そんなはずはない。