「……食べ終わったら解散しましょうか」


彼女の言葉に、俯いたまま頷いた。


「今はどこに居るの?」


「言わない」


「どうして?」


「黙秘権」


本当は『因幡さんのところ』と言ってやりたい。

だけど、それを言ったら因幡さんが怒りそうな気がしたから言えなかった。


「……」


頬杖をついた姿勢のまま唇を尖らせる安藤さん。

これで少しは勝てた気がする。


まあ、(はな)から相手にすらなってないんだけど…。


「ごちそうさまでした」


目の前に出された食べ物を食べ終わり、彼女が精算して店を出ると、そのまま逃げるようにして家に帰った。