「……母上がご存命の間は」

「承知致しております。
 遠方の我が遠縁の者にくれぐれも頼んでありますし、信頼する手の者を使用人として配置し、
若君には保護魔法をオルコットが施しております」


 クライドがオスカーを若君と呼んだのは。
 不倫の恋に落ち、ケリーを身籠らせたのが国王陛下だったからだ。

 つまりオスカーは王太子ローレンスにとって、
親子ほど年の離れた弟王子、ということになる。



 ローレンスは王城奥のプライベートエリアにクライド達と共に招き、『学苑の友人』と両親に紹介したケリーと父が恋愛関係になった事など、彼女がオスカーを身籠るまで気付くことはなかった。


 政略だった両親の結婚が、当初から良い関係ではないのは周知の事実であったが。