「やっぱ桃々たちの所に戻ろう?」 「俺は新奈とデートしたい」 ゆっくり動くカメの目の前で。 ムードもクソもないけど、伊吹くんに目を見つめられて、やっぱりドキッとしてしまう。 「デートならまた今度、ね?」 「今がいい」 「もう!伊吹くん、いつもわがまま!」 「新奈は俺と一緒にいたくない?」 ずるい。 伊吹くんは本当にずるいよ。 「…分かった。ちょっとだけだからね」 私が観念すると、伊吹くんはくしゃっと笑った。