なのにいざ喋るとこの調子。

皆藤くん相手だと、やっぱり調子が狂う。



「映画行こ?」

「行かないって」

「今日予定でもあるの?」

「…ないけど」

「じゃあ、行こーよ」

「前回のデートで日誌の借りは返したでしょ」

「えー」



って、そんな悲しそうな顔したって私には通用しないんだから。



「そんなに映画見たいなら、私じゃなくて皆藤くんのことが好きな女子と───」



私が途中まで言いかけた時。



「だからそれは嫌だつってんじゃん」



一瞬だけ空気がピリついた気がした。


皆藤くんは靴を履き替えた直後の私の手を強引に引いて、すたすたと歩いて校門に向かう。



「ちょっと離して」

「ダメ。離したら帰っちゃうでしょ?」

「帰らないから離して」

「信用できない」



何なの!