年下御曹司の箱入り家政婦

その時、車内にギュルルルルルゥーと
地鳴りのような音が響き渡った。

僕と蘭は後部座席の音の発信源に
チラッと目をやった。

「あはははー。お前たちお腹空かないの?
俺、お腹空きすぎてそろそろ背中とくっつきそうなんだけど?」

斗真は恥ずかしそうに頭に手を当てながら言った。

「そうね。
とっくに13時過ぎてるものね。」

蘭は腕時計に目をやると
その時刻にため息をついた。

「じゃあ、どっか店で食べてから帰るか…」

僕がボソッと呟くと
「賛成!!」と待ってましたと言わんばかりに斗真が声を張り上げた。

「私はパスタがいいわ」

「俺はハンバーグが食べたい。」

斗真と蘭はそれぞれ自分の食べたいものを
主張する。

こいつらは譲ると言う言葉を知らないのか...


「パスタとハンバーグねぇ~」

僕は外の流れる景色を見つめながら
飲食店の看板を探す。

そして、ふとあることを思い出した。

「良い店がある!!」

僕は思わず叫ぶと
ブレーキと共に車をUターンさせた。