年下御曹司の箱入り家政婦

この蘭も幼稚園からの腐れ縁の一人だ。

まあ、幼稚園の頃から僕のことを追いかけて
就職先までついてきたのだから作られた縁なのだけど。

「蘭には関係ない」

「関係ないことないわ。
私が櫻介のことが好きなのは知ってるでしょ?」

「それこそ、関わらないでもらいたいよ。
はっきり言って迷惑なんだ。」

今まで何百回と告白されて何百回と
ハッキリと断ったのに
それでも(あきら)めない蘭は僕と同じくらい諦めの悪い人間だ。

だからこそ面倒なのだ。

これが羽菜ちゃんなら大歓迎なのに…

世の中本当に上手くいかないものだ。

僕は思わずため息をついた。

「私、諦める気は更々ないから」

蘭はフンッとそっぽを向いた。


面倒くさい女だな...

さっさと諦めて別の男のところにいけよ。


僕は流石に仕事中のため
その辛辣な言葉をグッと飲み込んだ

その代わりにチッと舌打ちをして
嫌悪感を露にした。

「櫻介!さすがに舌打ちは可哀想だろ!
蘭ちゃん、僕ならフリーだよ」

斗真が咄嗟に自分を指さしてフォローを入れるが蘭に「あっそ」と一蹴されてシュンと縮こまった。