年下御曹司の箱入り家政婦

きっと羽菜ちゃんは僕のことを今はまだ、可愛い弟くらいにしか思っていないことは分かってる。
しかし、今日からは遠慮なくアプローチすることができる。

僕はよし!っと気合いを入れて
ベッドから立ち上がった。

そしてベッドの上に寝間着を
無造作に脱ぎ捨てるとクローゼットを開けた。

新調したばかりのスーツは羽菜ちゃんが選んでくれた。
思わず顔を緩ませながら
ワイシャツをとり袖を通す。

もし告白して断られても諦める気なんて更々ないが、拒絶されたとき果たして僕の心臓は正気を保っていられるのだろうか。

そう考えただけで、初出社の緊張感なんて比じゃないほどに緊張で胸が張り裂けそうに痛い。

ネクタイを締めながら鏡の前に立つと
鏡にうつる自分の顔は緊張で顔がこわばっている。

羽菜ちゃんのこととなると、
我ながら情けない。

僕は緊張をほぐすように
フゥッとひとつ大きく息を吐いた。

さっき羽菜ちゃんは僕なら大丈夫って言ってくれたよね?
これから弟から脱却して男として見てもらうように容赦しないから、覚悟してね。

僕は気合いを入れ直すべく、
思い切り両手でバシッと自分の頬を叩くと
部屋を出た。