年下御曹司の箱入り家政婦

まったく、櫻ちゃんはどんだけ
自己中心的なのよ!

仕事してて笑顔を禁止なんて
出来るわけないじゃない

私はシャワーを浴びながら
沸々と沸いてくる怒りを
なんとか押さえようとする。

きっとお風呂から出た後も
しつこく説教してくるだろうから
なんとかこの場をうまくかわして
切り抜けないと。

明日も仕事なんだから櫻ちゃんの
被害妄想に付き合ってられないわ

そういえば大学時代に一度だけ、
櫻ちゃんに告げずに
女友達と合コンに行ったときの
ことを思い出す。


なぜ自分に内緒で行ったのかと
問いただされて朝まで部屋に居座られた
前科があるのだ。

私としては別にわざわざ報告しなくても
いいだろうくらいで特別秘密にしていた
わけではなかったのだけど
櫻ちゃんは隠し事をされたと大騒ぎだった。

あの櫻ちゃんが納得するまでの
堂々巡りの尋問は
思い出すだけでも面倒くさい。

そのときは連絡先交換を断ったことが
幸いしたのと今度から合コンのときは
櫻ちゃんに行き先を
全て告げることでなんとか納得させることが出来たのだ。

それからは偶然を装って合コン会場に
毎回現れたっけ?

私は白々しく合コン会場で
遭遇した時の櫻ちゃんを
思い出して思わずくすりと微笑んだ。

今思えば、あんなあからさまな愛情表現を
なぜ気づかなかったのだろう?

櫻ちゃんの必死さが可愛いくも思えてくる。

いやいや、甘い態度を取ってたら
きっと付け上がって無茶苦茶な要求をしてくるわ

ここは毅然とした態度で
接しないと...

私は気を引き締めてから
浴室を出た。