年下御曹司の箱入り家政婦

「何もされなかった？」

「されるわけないでしょ！！
無駄口叩いてないで片付けるから
残り食べちゃってよ」

私は櫻ちゃんのドンブリに残った
僅かなご飯を指差した。

別に新さんは私に手を出したわけでは
ないので嘘はついてない。

私は堂々とした態度を櫻ちゃんに向ける。

櫻ちゃんは私に指摘されて
ムスッとした態度でご飯をかけ込んだ。

そして口をモグモグさせながら
「はい...食べたよ」と
空になったドンブリを私に差し出した。

私はそれを受け取ると
流し台でさっと汚れを洗い流した。

対面キッチンなので前を向けば
櫻ちゃんの鋭い視線に捕まってしまう。

私は下を向いたままシンクをいつも以上に丁寧に磨く。


「じゃあ、何か言われた？」


「・・・・・・・何も言われてないわ」


「あーっ、間があった！！
絶対何か言われたんだ！！」


「い、言われてないわよ。」


「何を言われたの？？」


「言われてないったら...」


「告白でもされた？？」


櫻ちゃんの問いに思わず
私の顔にボッと火が灯った。


「告白されたんだね...」


「ちゃんと断ったわよ。」


「それであの男は諦めるって？」


「そ、それは......」


私はモゴモゴと口ごもる。