年下御曹司の箱入り家政婦


部屋に入ると真っ暗なはずのリビングに
明かりがついていた。

「あれっ?」

電気つけっぱなしで出てきてしまったのかな?と不思議に思いながら靴を脱ぐ。

そして、そっとリビングのドアを開け
ソファーに目をやると携帯ゲームをしながら、くつろいでいる櫻ちゃんの姿があった。

櫻ちゃんは私の姿に気付くと
「あっ!羽菜ちゃんおかえりー」と
スマホを放り投げ、しっぽを振るように喜んだ。

「ただいま...って
どうやって部屋に入ったの!?」


「窓の鍵が空いてたから。」


「えっ!?うそっ」


そういえば今朝、櫻ちゃんが朝食をすませて窓から出てったとき鍵してなかったかも...

思い当たる節があり、「あっ...」
と思わず声を漏らした。

「まったく...
気をつけないと物騒だよ。
悪い男が入って襲われたりしたらどうすんだよ?」

櫻ちゃんは興奮したように
かっかといきり立っている。

私は了解なしに人の部屋に上がり込んでるものの言う台詞ではないと若干ムッとした表情を浮かべた。

しかし、腑に落ちないが
一応「ごめんなさい」と
謝罪の言葉を呟いた。

「今度から気をつけてね。
それより、今日は帰りに牛丼買って帰ったから一緒に食べよ」

「牛丼っ?」

私が櫻ちゃんの言葉にピクリと反応する。

「そう、牛丼」

櫻ちゃんはローテーブルに置いてある手さげ袋を自慢げに掲げてみせた。

「わーい、今日疲れてたから嬉しい♪
櫻ちゃん、ありがとう」

私は夕食作りの解放感から
嬉しくて声を弾ませた。