年下御曹司の箱入り家政婦

「夢野...俺の前でそいつの名前は出すな」

「えっ?」

私が咄嗟に新さんのほうへ視線を移すと
新さんはムスッと不機嫌な表情でこちらを見つめていた。

「夢野がそいつの名前を口にするだけで
嫉妬で気が狂いそうだ」

「あっ...すみません...」

私は居たたまれなくなって、
恐縮したように頭を小さく下げた。

「すまない。
自分でも思っている以上に
独占欲が強いみたいだ」

新さんは困ったように
苦笑いしながら頭をかいた。

私は新さんの言葉の返答に困り、
二人の間に長い沈黙が流れる。

しかし、長い沈黙は
「ぷっ(笑)...クククククッ...」
新さんの堪えられないというような笑い声で破られた。

「なっ!何が可笑しいんですか!」

私は憤慨したようにムッと顔をしかめた。

「だって夢野の顔にめちゃくちゃ気まずいって書いてある」

新さんは私の怒り顔見て
余計に楽しげに笑っている。