「上司の立場でこんなことを言うのはよくないってのは分かってる。
夢野を困らせることも...」
新さんの瞳の奥にはまだ迷いの色が見えた。
しかし、迷いを振り払うかのように
ひとつ緊張を含んだ息を吐くと、今度は率直な眼差しをこちらに向けた。
「でも、一緒にいる時間が長くなればなるほどどんどん夢野に惹かれていってる。
もう自分の気持ちを隠したまま、
ほかの男に取られるのを
指を咥えて見ていたくないんだ。
俺は夢野が好きだ。ずっとそばにいてほしい。」
その真っ直ぐな瞳から逃げるように
私は視線を下に反らした。
「私を困らせるっていうなら取り消してください。
嫌です。こんなことで今の関係が崩れるのは。」
「結構、残酷だな」
私の言葉に新さんは苦々しく笑った。
その苦しげな声色が
私の胸をチクリと突き刺さす。
自分でも酷いことを言っているのは分かっている。
告白自体をなかったことにしてくれなんて...
でも私は恋愛感情を抜きにして新さんが好きだ。
好きというよりは尊敬しているといったほうが良いだろう。
料理に対してどこまでも貪欲な新さんの下で
これからも一緒に仕事がしたいのだ。
私は覚悟を決めると顔を上げ
正面に向きなおした。
「きつい言い方をしてすみません...
でも...私は新さんの気持ちに答えることはできません」
「知ってる。そんなことは百も承知で告白したんだ。」
「振られて諦めるためにですか...?」
「いや、その逆だ。
振り向いてもらうために告白したんだ。
これから堂々とアピールするために」
迷いない新さんの眼差しに
混乱した私は再び目線を下に反らした。
「そんなの余計に困ります」
そして新さんの言葉で狼狽した私は
熱くなった顔を両手で隠すように覆った。
夢野を困らせることも...」
新さんの瞳の奥にはまだ迷いの色が見えた。
しかし、迷いを振り払うかのように
ひとつ緊張を含んだ息を吐くと、今度は率直な眼差しをこちらに向けた。
「でも、一緒にいる時間が長くなればなるほどどんどん夢野に惹かれていってる。
もう自分の気持ちを隠したまま、
ほかの男に取られるのを
指を咥えて見ていたくないんだ。
俺は夢野が好きだ。ずっとそばにいてほしい。」
その真っ直ぐな瞳から逃げるように
私は視線を下に反らした。
「私を困らせるっていうなら取り消してください。
嫌です。こんなことで今の関係が崩れるのは。」
「結構、残酷だな」
私の言葉に新さんは苦々しく笑った。
その苦しげな声色が
私の胸をチクリと突き刺さす。
自分でも酷いことを言っているのは分かっている。
告白自体をなかったことにしてくれなんて...
でも私は恋愛感情を抜きにして新さんが好きだ。
好きというよりは尊敬しているといったほうが良いだろう。
料理に対してどこまでも貪欲な新さんの下で
これからも一緒に仕事がしたいのだ。
私は覚悟を決めると顔を上げ
正面に向きなおした。
「きつい言い方をしてすみません...
でも...私は新さんの気持ちに答えることはできません」
「知ってる。そんなことは百も承知で告白したんだ。」
「振られて諦めるためにですか...?」
「いや、その逆だ。
振り向いてもらうために告白したんだ。
これから堂々とアピールするために」
迷いない新さんの眼差しに
混乱した私は再び目線を下に反らした。
「そんなの余計に困ります」
そして新さんの言葉で狼狽した私は
熱くなった顔を両手で隠すように覆った。



