年下御曹司の箱入り家政婦

「よし!分かった。
鈍感な夢野にもっとわかりやすく伝えてやろう。
後悔しても遅いからな?
言ってしまったら多分俺は止まらなくなる」

私は新さんが何を言いたいのか分からないが
なんだか嫌な予感がする。
そう…それは櫻ちゃんに迫られている
あの猛獣に追い詰めれらるられた小動物のような感覚だ。

「や、やっぱり、知らなくてもいいかな...」

私は遠慮がちに呟きながらチラリと新さんの顔を伺った。

新さんは不敵な笑みを浮かべながら
「残念だ。もう遅い」と時間切れを告げた。

私は次の言葉が聞こえないように
パッと耳を塞いだ。

しかし新さんはそんな私に構うことなく
三文字の言葉を呟いた。

耳を塞いでいたので声は聞こえなかったけど
何となく口の動きで分かってしまった。


“す・き・だ”


新さんのこちらを見つめる瞳が真剣だったので
鈍感な私でも冗談ではないと分かる。

私は無言のまま、そっと塞いでいた手を下した。

「夢野の表情からして伝わったんだろうな」

きっと私は戸惑いの表情を浮かべているだろう。
なんて答えればよいのか分からない。