年下御曹司の箱入り家政婦

羽菜ちゃんを抱き締めてると
幸せに胸が膨らんで張り裂けてしまいそうだ。

思わずぎゅっと抱き締める腕に力を
込めると羽菜ちゃんはハァッと呆れたような溜め息を漏らした。

そして、諦めたのか僕に抱き締められたまま
スースーと寝息をたて始めた。

その寝息すら愛おしくて思わず
羽菜ちゃんの後頭部にグリグリと顔を埋めた。

ここ最近、羽菜ちゃんを狙うハイエナが
現れて(しかも一緒の職場で)仕事中も
二人が急接近してるのではと不安でいっぱいだったから...

今日は羽菜ちゃん独り占めできただけでも
幸せだ...

でも羽菜ちゃんとの距離が近づけば近づくほど...触れれば触れるほどにどんどん欲が出て全てが欲しくなってしまう。

まるで底無し沼のようにはまって
脱け出すことはできない。

羽菜ちゃんは可愛いからいつか誰かに奪われてしまうのではないか...いつも心の片隅に不安が渦巻いているのだ。

そんな僕に昔からの友達は
そろそろ諦めて次にいくよう
勧められたりもする。

でも僕は羽菜ちゃんが振り向いてくまで
この沼から出ない覚悟だ。

どんなに辛くても苦しくても
羽菜ちゃんから離れてしまうほうが
僕にとっては何百倍も苦しいのだ。

だから絶対に諦められない...


僕は胸が苦しくなり
ハァッと大きく息を吐いた。


早くこの沼から救いだしてよ...

羽菜ちゃん...

そう願いながら
羽菜ちゃんの後頭部にキスを落とすと
ゆっくりと目を閉じた。