年下御曹司の箱入り家政婦

少しの間、羽菜ちゃんとの攻防が続いたが
頑なに寝たふりを決め込むので
根負けした僕は明るい照明をおとして
常夜灯に切り替えた。

「せっかくの二人きりの夜なのに...」
と、まだ未練がましくブツブツと呟きながら
離された枕を掴むと羽菜ちゃんの横に寄り添うように寝転がった。

僕がようやく諦めたと悟った羽菜ちゃんは
目をつぶったまま、ニヤリとしたり顔を浮かべた。

その顔につられて思わず僕の顔もフッとほころぶ。

「(可愛いすぎて)ムカつくっ...」

僕は仕返しに羽菜ちゃんの白い頬を
ツンツンとつついた。

羽菜ちゃんは眉をしかめると
クルッと体を反転させて僕に背を向けた。

今度はそうきたか...

僕は背を向けて眠る羽菜ちゃんに
ピタッと後ろから体をくっつけると
抱き締めるように彼女の体に片方の腕と足を回した。

羽菜ちゃんの小さくて柔らかな体と
サラサラした髪の毛から
ほのかに漂うシャンプーの香りに
僕は満足げに顔を緩めた。

「何もしないって言わなかったっけ?」

羽菜ちゃんがつっけんどんな声色で
呟いた。

「何もしないんじゃなくて
エッチなことはしないって約束だから
これはセーフだよ」

「アウトだよ」

そう言って顔だけこちらを向ける羽菜ちゃんに「グーグー.....」と僕は狸寝入りをする。

「もうっ、ズルいんだから...」とプンプンと
怒りながら呟く羽菜ちゃん。

ズルいのはお互い様だよ...

僕は心の中で反論しながらも
羽菜ちゃんの頬を膨らませている姿を想像して口許を緩ませた。