やっぱり、寝たフリだったのね。
緊張しているのかと思いきや
寝たふりするほどの余裕があれば大丈夫だろう。
「早く準備しないと
今日は初出社の日でしょ!」
私は仁王立ちで櫻ちゃんを見下ろす。
怒られた櫻ちゃんは
「はい...すぐ準備します」
しょぼんとしている。
「私はてっきり緊張して眠れなかったのかと心配したのに···」
私はムッとした表情を浮かべる
「えっ!?緊張?」
櫻ちゃんはわたしの言葉に
目をまんまるくした。
「あっ、そうそう!そうだよ!
昨日は緊張で
あまり眠れなかったんだ!」
そして、思いついたように
うんうんと頷いている。
「本当に?とても緊張しているようには
みえないんだけど···──」
私は疑いの目を向ける。
「本当だから!
今も緊張のせいか心臓がドキドキして
苦しいんだ」
櫻ちゃんは胸を押さえながら
布団に額をつけ、うずくまった。
なんだか少し演技臭い気もするけど、櫻ちゃんが緊張してるというなら信じよう。
私はうずくまると櫻ちゃんの頭に
そっと自分の手を乗せた。
「櫻ちゃんなら大丈夫。頑張れ」
そして優しく諭すように言葉をかけた。
・・・・・・・・
しかし、布団にうずくまったまま、
櫻ちゃんは何の反応もしない
しびれを切らせた私は
「今日の朝ごはんは、櫻ちゃんの好きなものばかり用意したから早く着替えてきてね」
そう言って、櫻ちゃんの頭に置いた手を
離そうとした。
その時、
ガシッ
離そうとした手を櫻ちゃんに捕まれた。
「羽菜ちゃん、ドキドキして
胸が苦しいんだ」
櫻ちゃんは苦しそうな顔で訴えかける。
「えぇ!!?そんなに苦しいの!?」
「うん。だから
ちょっとだけ肩かして···───」
そう言うやいなや、櫻ちゃんは私の手を思いっきり引いた。
「うわあっ」
よろけた私はベッドに座った櫻ちゃんに抱き寄せられた。
すぐさま離れようとするが、櫻ちゃんはそのままギュッと腕に力を込めた。
固まっている私をよそに
「羽菜ちゃん、ありがと」
と嬉しそうに呟く櫻ちゃん。
いやいやいや、肩かしてって
全然違うでしょ!
それよりなにより、櫻ちゃん相手に
ドキドキしている自分が嫌だ!
私は力の限り、櫻ちゃんの胸をおして離れると「ご、ご飯が待ってるから」意味不明な言い訳を口走る。
生まれてから男の人に抱き締められたことのない私は櫻ちゃんとはいえ、かなりパニックなっている。
きっと私の顔は今、リンゴよりも真っ赤だろう。
私の顔を見て満足げに笑っている櫻ちゃんにからかわれているのだと分かり、恥ずかしさがさらに込み上げる。
私は「は、早く準備しなさいよ!」と言うと一目散に走って部屋を出ていった。
緊張しているのかと思いきや
寝たふりするほどの余裕があれば大丈夫だろう。
「早く準備しないと
今日は初出社の日でしょ!」
私は仁王立ちで櫻ちゃんを見下ろす。
怒られた櫻ちゃんは
「はい...すぐ準備します」
しょぼんとしている。
「私はてっきり緊張して眠れなかったのかと心配したのに···」
私はムッとした表情を浮かべる
「えっ!?緊張?」
櫻ちゃんはわたしの言葉に
目をまんまるくした。
「あっ、そうそう!そうだよ!
昨日は緊張で
あまり眠れなかったんだ!」
そして、思いついたように
うんうんと頷いている。
「本当に?とても緊張しているようには
みえないんだけど···──」
私は疑いの目を向ける。
「本当だから!
今も緊張のせいか心臓がドキドキして
苦しいんだ」
櫻ちゃんは胸を押さえながら
布団に額をつけ、うずくまった。
なんだか少し演技臭い気もするけど、櫻ちゃんが緊張してるというなら信じよう。
私はうずくまると櫻ちゃんの頭に
そっと自分の手を乗せた。
「櫻ちゃんなら大丈夫。頑張れ」
そして優しく諭すように言葉をかけた。
・・・・・・・・
しかし、布団にうずくまったまま、
櫻ちゃんは何の反応もしない
しびれを切らせた私は
「今日の朝ごはんは、櫻ちゃんの好きなものばかり用意したから早く着替えてきてね」
そう言って、櫻ちゃんの頭に置いた手を
離そうとした。
その時、
ガシッ
離そうとした手を櫻ちゃんに捕まれた。
「羽菜ちゃん、ドキドキして
胸が苦しいんだ」
櫻ちゃんは苦しそうな顔で訴えかける。
「えぇ!!?そんなに苦しいの!?」
「うん。だから
ちょっとだけ肩かして···───」
そう言うやいなや、櫻ちゃんは私の手を思いっきり引いた。
「うわあっ」
よろけた私はベッドに座った櫻ちゃんに抱き寄せられた。
すぐさま離れようとするが、櫻ちゃんはそのままギュッと腕に力を込めた。
固まっている私をよそに
「羽菜ちゃん、ありがと」
と嬉しそうに呟く櫻ちゃん。
いやいやいや、肩かしてって
全然違うでしょ!
それよりなにより、櫻ちゃん相手に
ドキドキしている自分が嫌だ!
私は力の限り、櫻ちゃんの胸をおして離れると「ご、ご飯が待ってるから」意味不明な言い訳を口走る。
生まれてから男の人に抱き締められたことのない私は櫻ちゃんとはいえ、かなりパニックなっている。
きっと私の顔は今、リンゴよりも真っ赤だろう。
私の顔を見て満足げに笑っている櫻ちゃんにからかわれているのだと分かり、恥ずかしさがさらに込み上げる。
私は「は、早く準備しなさいよ!」と言うと一目散に走って部屋を出ていった。



