───それから数日が経ち
約束のデートの日がやってきた。

櫻ちゃんと私は二人で遊園地に訪れていた。

「遊園地なんて何年ぶりだろ。
昔は家族でよく来てたんだけど
久しぶりだからワクワクしちゃう」

入場ゲートをくぐりぬけると
眼の前に広がる夢の楽園に
私は楽しみすぎて目を輝かせた。


「僕なんて昨日の夜は楽しみすぎて
なかなか寝付けなかったよ。
羽菜ちゃん、今日はとことん楽しもうよ!」

櫻ちゃんの言葉に「うん!」と
私は満面の笑顔で返す。

櫻ちゃんもつられて目を細めると
さっと私の手を取って歩き出した。

「よし!羽菜ちゃん行こう!
最初、何に乗る?
メリーゴーランド?観覧車?」


「ちょ、ちょっと、櫻ちゃん...?
手を繋ぐのは恥ずかしいよ。
誰かに見られたら...」


私は思わず周囲を見渡した。


「誰も僕たちのことなんて興味ないよ」


「そうなんだけども...
やっぱりなんか恥ずかしいよ」


しかも恋人繋ぎなんて...


私はもう片方の手で櫻ちゃんの手を
引き剥がそうとする。

「やだ!
手を繋がないなんてデートじゃないよ!」

しかし、櫻ちゃんは断固としてそれを拒否して離さない。

二人が押し問答していると、
遠くからキャーーーと言う人々の
大きな叫び声が聞こえた。

私達が声のする方に目を向けると
ちょうどジェットコースターが
クルクルと何回転もしながら走り去って行った。

「櫻ちゃん!あれ!あれ乗ろう!」

私はジェットコースターの方を
指をさしながら、
先ほどよりも更に目を輝かせた。

「早く、早くっ!」

そして、コースター乗り場へと
櫻ちゃんの手を引いて歩き出す。

「えーっと...
さっきのクルクル回ってたやつに
人って乗れるの...?」

「当たり前じゃない!
ほらっ、行くよ!!」


私がグイグイと櫻ちゃんを引っ張っていくが、櫻ちゃんは先ほどとは打って変わって顔がひきっている。