年下御曹司の箱入り家政婦

私は胸に手を当て心臓を落ち着かせていると

「うわっ、梅干しだ!?」

櫻ちゃんがお粥の上の梅干しを見つけて
苦々しい顔をしていた。

「梅干しは風邪の時には効果テキ面なんだから、黙って食べなさい」

私の言葉に
櫻ちゃんは嫌々ながら箸で
梅干しの身を小さくちぎって
口に入れると
うげぇーと顔をしかめた。

いつもの櫻ちゃんだ...

私はなんだかホッとして口元を緩ませた。

「櫻ちゃんの好きな蓮根の豚汁も
作ったから残さずたべてね」

「久しぶりの羽菜ちゃんの豚汁だ♪」

櫻ちゃんは豚汁の汁を啜ると
はあ...うまい...この味、ホッとする...
と頬を緩ませる。

しかし、豚汁のお茶碗は
あっという間に綺麗に空っぽになった
というのに梅干し粥は一口食べて以来、
手付かずだ。

「やっぱり、食べなきゃダメ...?」

上目遣いに懇願する櫻ちゃんに
私は険しい顔で
コクコクと顔を縦に振ってみせた。

櫻ちゃんは観念して梅干しをほぐして
お粥に混ぜると一口食べて
うぅっと悶絶している。

可哀想だけど、これも彼のためだ...

「櫻ちゃん?
しっかり食べて風邪治さないと、今度の休みにデート行けなくなっちゃうよ?」

ずるいような気もするが、
これで釣るしかない...

櫻ちゃんはガーンと衝撃を受けたように
固まっていたかと思うと
「死んでも治す!!」
そう言ってお茶碗を手に取り
お粥をガーッと口にかけ込みだした。

ここまでデートを楽しみにしていたとは...

私は必死に食べる櫻ちゃんが
可愛いくて思わず失笑を漏らした。