年下御曹司の箱入り家政婦

そして、櫻ちゃんの部屋の前に着くと
小さくノックをした。

「櫻ちゃん入るよ?」

そして、一言声をかけ
ゆっくりとドアを開けた。

櫻ちゃんはまだ少し肩で息をしながら
寝息を立てている。
先ほどより、少し呼吸も落ち着いた様子で
私はホッと胸を撫で下ろしす。

そして、床に両膝をつくと、そっと櫻ちゃんの額に自分の手を当てた。

やっぱりまだ熱い...

苦しいよね...

私が家を出なければ櫻ちゃんが
身体を壊すことなんてなかったのに...


「ごめんね...」


辛そうに顔を歪める櫻ちゃんの頭を
優しく撫でていると


「なんの謝罪...?」


櫻ちゃんが急に目を開けたので
私はびっくりして引っ込めようとするが
櫻ちゃんの大きな手が
私の手をガシッと掴みそれを阻止する。

「櫻ちゃんが熱を出したのは
私のせいだから...」

「なんでそうなるの?
こんなの僕自身のせいじゃん」

櫻ちゃんは呆れたように笑うと
───羽菜ちゃんのせいじゃないから......
艶のある瞳でこちらを見つめながら
私の手のひらに自分の唇を押し付けた。

「んっ...」

ゾクッとするほど色気のある眼差しと
手から走る刺激に顔が熱くなり
私はバッと櫻ちゃんの手を振り払うと
隠すように後ろに手を引っ込めた。

「羽菜ちゃん、顔真っ赤だよ?」

櫻ちゃんは嬉しそうに私の顔を覗き込んでくる。

「ご飯作ったから早く食べなさい」

私は櫻ちゃんの目をまともに見ることができず視線を彷徨わせながら、ぶっきらぼうにこたえた。

告白を受けてからというもの
櫻ちゃんのたまに見せる男の顔に
私はどう対処して良いか分からない...

そして、この胸を騒がせるドキドキが
嫌でこの場から逃げてしまいたくなるのだ...