年下御曹司の箱入り家政婦

そして、寝室を出ると恐ろしいほどに散らかったリビングルームを急いで片付けていく。

私が天草家に居候した当初、櫻ちゃんの食べ物の好き嫌いの多さに愕然としたことを思い出す。
それから、櫻ちゃんが食べやすいように嫌いな野菜を細かくして料理に混ぜたり、好みの味付けにして食べさせたり色々工夫していたのだ。
一人暮らしで野放し状態となり、見張るものがいなくなった今、櫻ちゃんの食生活は余程ひどいものだったのではないかと粗方の予想がつく。

脱ぎっぱなしの服は洗濯機に入れ
部屋に溢れていたゴミはごみ袋に入れて部屋の隅に一ヶ所にまとめた。

掃除機を掛けると部屋はスッキリとした入居当初の美しさを取り戻した。

そして自分の部屋に戻り、冷蔵庫を開けて
今ある食材を適当に取り出していく。

櫻ちゃんに食べやすくて少しでも栄養のあるものを食べさせないと...

櫻ちゃんの大雑把さと今までの偏食歴を
考えたらこうなることは予測できたのに...

もうちょっと早く気付けば
良かったと後悔する。

羽菜は作った料理をお盆に乗せると
ベランダの非常扉から櫻ちゃんの部屋へと
向かった。

途中、櫻ちゃんの部屋のベランダの
隅になぜか双眼鏡が落ちていることに気づく。

なぜ、双眼鏡が?

私は不思議に思いながらも
双眼鏡を拾いあげると
エプロンのポケットにしまいこんだ。