年下御曹司の箱入り家政婦

騒がしい茜ちゃんが厨房からいなくなると
途端に厨房は静まりかえる。

「あのー、新さん...
昨日、お店を出た辺りから記憶は曖昧なんですが何か失礼なことしませんでしたか?」

「失礼なことしかしてない...」

「えっ!?」

途端に私の顔は青褪める。

「冗談だ。」

フッと笑う新さんに私はモウッと口を尖らせる。

しかし、新さんは最近私の前ではよく笑顔を見せてくれるようになった気がする。
単に私が単純だからからかわれているだけのように思うのだけど...

「これからはお酒はほどほどにします...」

弱いのに飲みだすと調子に乗ってしまい止まらなくなるのだ。

「別にいくらでもおぶって帰ってやるから
好きなだけ飲めばいい。」

「そんなわけにはいかないですよ!」

私は思い切りブンブンと頭を振るった。

背はそんなに高くないが、お世辞にも自分が痩せているとは言い難い。
しかも、ここで働き初めて夜の賄いが美味しくて体重も3キロくらい増えているのだ。

「あいつには遠慮しないのか...?」

急に新さんの顔から笑みが消えて
途端に表情がくもる。

「あいつ?」

「いや、何でもない...
お前と飲むのは楽しいから、
また付き合えよ」

そう言って少し悲しそうに頬笑む新さんに
「あ、ありがとうございます...」
私は複雑な気持ちでお礼を言った。